イベント開催報告
JPW2022 第96回日本薬理学会年会/第43回日本臨床薬理学会学術総会
【AMED「ムーンショット型研究開発事業・目標7」との共催シンポジウム】
「ミトコンドリア関連研究の新展開 加齢、感染症、宇宙開拓」を開催しました
2022年12月2日(金)パシフィコ横浜で JPW2022 第96回日本薬理学会年会/第43回日本臨床薬理学会学術総会において開催された
AMED「ムーンショット型研究開発事業・目標7」共催シンポジウム「ミトコンドリア関連研究の新展開 加齢、感染症、宇宙開拓」
についてご報告いたします。
概要 | |
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ミトコンドリアは細胞の様々な過程のハブであり、その機能は加齢と密接に関係します。加齢制御は老化細胞のセノリシスで可能です。
また老化研究にはiPS細胞由来分化細胞のEpigenic制御機構解明が重要です。ウイルス感染症ではミトコンドリアがウイルスの細胞内侵入を感知し抗ウイルス活性を示します。
宇宙開拓においては放射線や重力変化などの環境変化で筋肉ミトコンドリア機能が変化するためミトコンドリア評価が重要です。
今回、本テーマでは健康不安なく長寿をおくるために上記に関するミトコンドリア関連研究の最新話題を提供し、
学会員および一般参加者のこれらの分野におけるさらなる研究への参加と本シンポジウムの提唱への理解の機会を共有できればと願い、本シンポジウムを開催しました。
本シンポジウムでは、現地参加のみ開催でした。 JPW2022参加者110名、一般参加者10名の合計120名に参加していただきました。 |
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講演 | |
最初に座長である阿部高明教授より当シンポジウム「ミトコンドリア関連研究の新展開 加齢、感染症、宇宙開拓」の目的について説明がありました。東京大学・中西真教授より老化細胞を標的とした健康寿命延伸技術の開発について発表がありました。 老化細胞においてはPD-L1が高発現しているので抗PD-L1抗体の使用が有効であることが示されました。 京都大学・ウォルツェン クヌート准教授からは日本人由来iPS細胞バンクの構築、ミトコンドリアDNA変異を持つ人から作成されたiPS細胞ではミトコンドリアDNA変異が維持されていることまたミトコンドリア機能変異がiPS細胞を分化させた細胞でも確認されたことが報告されました。 長崎大学の安田二朗教授からはミトコンドリア内に存在する酵素を阻害することで擬似Ebolaウイルス複製を阻害することができることが示されました。最後に群馬大学の髙橋昭久教授からは深宇宙とミトコンドリアとしてこれから人類が火星を目指すうえで宇宙飛行中に無重力かつ宇宙線に曝露され続ける人体への影響に対してミトコンドリア機能の保護と活性化が重要であることが示されました。 |
まとめ
本講演からミトコンドリア研究の進展がムーンショット型研究開発事業目標7が目指す健康不安なく長寿をおくることを可能にすることを聴衆に対して提唱しました。聴衆からも講演者に対して質疑応答が活発に行われ、本シンポジウムの意図したミトコンドリア関連研究の新展開について周知することが出来ました。